お知らせ
グッぼるショップについて - F.O.B COOP閉店インタビューより

尊敬する「F.O.B COOP」が閉店してしまいました。あのような視点でモノを扱える人に初めて知って感動したのが30年以上前。クライミングギアをF.O.B COOPのように日本に紹介したいと思い始めたのがグッぼるショップです。文化発信、お金を払う価値、モノを選ぶ権利、など素晴らしい考え方でずっと真似してみたいと感じていました。閉店は残念ですが彼女の思想に感銘を受け起業された方も多いはず。その点で「文化発信の成功はあったはず」と尊敬しています。特に以下のフレーズには共感しました。
「一回カンフル剤みたいに意思表示してもいいかなと思った。最近の若い人は、車もいらない、良いものもいらない、という感じでしょう。今40~50代のお客さんたちには良いものを売りすぎて未だに大事に使ってくれているけど、周りに似たような店がたくさんあるから、そっちで買ったりしている。大企業は力技なところがあるからね。皆さんに言いたいのは『(お金を落とす場所を)ちゃんと選びなさいよ』ということ。買わない権利ってスゴイのよ。唯一社会参加できること。(選挙で)一票投じるのと同じくらい意味があるんだから。きちんと美しく生活してほしい」
イタリアやフランスなどでも以前よりグローバル化して安いものに汚染されています。が、やはり欧州の文化は厚く日本の伝統工芸程度には保存されていて驚きます。そんな感覚を愛しみクライマーに伝える。それがやれるショップであることがいまの目標であり幸せです。グッぼるはこれからも彼女の思想に近づけるようにまだまだ頑張りたいと思っています。由井店長。
F.O.B COOP閉店で伝えたいこと - 六本木経済新聞 https://goo.gl/bEfbVB
---以下、記事より引用---
F.O.B COOP閉店で伝えたいこと 益永みつ枝さんインタビュー
2015年10月25日、ついに広尾の街から35年という歴史を刻んできた“文化発信地”が消えた。「F.O.B COOP」閉店を伝えるニュースは大きな反響があり、改めてオーナー・益永みつ枝さんの生き方に注目が集まった。同店は今でいう「ライフスタイルショップ」の先駆けだが、それだけではない真髄がそこにはあった。その成り立ちの大筋は本記事で確認していただくとして、お忙しい中お時間を下さった益永さんの貴重な談話をここで紹介したい。
広尾の老舗輸入雑貨セレクトショップ「F.O.B COOP」、35年の歴史に幕
http://roppongi.keizai.biz/headline/3554/
35年を振り返って
F.O.B COOPはどんなに時代が変わっても、揺るがない安心感があった。そこに行けば大事なことを思い出させてくれる、ホッとする空間。益永さんの確固とした美学と審美眼により集められたものたちはいつだって心地がよかった。美しく機能的なものは、飽きずに長く使える。一家に一つはあるといわれているDURALEXのグラスがいい例だ。「いつまでもあると思うな親とFOB」と冗談めかして言う益永さん。閉店は「カンフル剤」とも。
1983年に「DURALEX」のグラスと出合ったことでF.O.B COOPのスタイルが確立していった。
益永さんが思う「美しさ」とは
益永さんのメッセージは一貫して変わらない。どんなにいいものに囲まれても、おいしいものを食べても、それは本当の意味での豊かさではない。どんなものをどんな風に食べるのか? 何をどこで手に入れ、どう使っていくのか? そこには自分の美学があるのか?
変わりゆく広尾の街と世の中の流れ
店の前の通りが「地中海通り」と呼ばれていたこともあったそう。
今後の展望と夢
「1回休んで、またやりたいことが出てきたらやる。それが私だから」と益永さん。
2003年に千葉県富津市に建てたビーチハウスにはここ1年行けていないという。友人に誘われた鎌倉や葉山などではなく富津市に決めたのも、偶然とひらめきによるもの。同じ値段で狭いリゾートマンションに入るくらいなら、「ここをなんとかしよう」と、創意工夫するのが性分だ。益永さんの生き方は多くの人を引き付け、多大な影響を振りまいてきた。F.O.B COOPが閉店するということは、一つの店が終わるという単純なことではなく、街から「知性」や「文化」が消えるというような、とても大きな損失なのではないだろうか。今後広尾の街がどう変わっていくのか、注意深く見守っていきたい。
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text:清水麻衣子(元オリーブ少女)
東京のはずれで思春期を送り、愛読していた雑誌で知った「F.O.B COOP」という名前。いつかこんな素敵なものたちに囲まれて暮らしたいと、記事を切り抜いてはせっせとスクラップ帳に貼り付けていた。ときどき都心へ出向いては実物を手にし、ちょっと大人になった気分に浸った。社会経験を積み近所に暮らしてからは日常的に立ち寄れるようになり、憧れの雑貨もようやく等身大で楽しめるようになっていた。閉店と聞いてあまりのショックに思わず駆け付けた。こんな一ファンの私に、真摯に語りかけてくださった益永さん(本まで貸していただいた!)、本当にありがとうございました。いただいたお言葉を胸に、美しく生きる努力をしていきたいと思います。